くらし情報『相模原の殺傷事件から着想 “社会の闇”を描くミステリー小説』

2021年7月5日 21:10

相模原の殺傷事件から着想 “社会の闇”を描くミステリー小説

東北の七重町に暮らす高校生の美和は、人ならざるものを幻視する体質。ある雪の日、何かに導かれるように見知らぬ場所に迷い込んだ彼女が見つけたのは老いた男の他殺死体だった――。倉数茂さんの新作『忘れられたその場所で、』は、そこから土地に刻まれた暗い歴史に斬り込んでいく社会派ミステリー。

雪降る田舎町で発見された遺体の謎。幻想と社会派小説の美しい融合。
相模原の殺傷事件から着想 “社会の闇”を描くミステリー小説


架空の七重町を舞台に美和たち滴原兄妹が事件に遭遇するシリーズの第3弾。しかし本作の中心人物は死体の謎を追う若手刑事の浩明で、前2作を知らなくても十分楽しめる。

「第1作の『黒揚羽の夏』は新人賞に応募したデビュー作ですから、続編は考えずに書いたんです。
でもそこから壮大なストーリーを思いついてしまって(笑)。シリーズで一貫しているのは、美和が不思議なものに出会ったことから、消されてきた記憶が蘇るというパターンです。今回は少年少女たちが事件を解決していくより刑事を据えた方がスムーズにいくと思い、警察小説の枠組みを活用しました。ただ、そこに幻想要素も加え、オリジナリティを出せたかと思います」

浩明と、彼とコンビを組む刑事で異端視されているシングルマザーの絵美の地道な捜査を主軸に、所轄と県警の軋轢や、七重町の経済を牛耳る大真知家の闇といったサイドストーリーも進行。

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