2021年8月19日 18:30
1本の動画で貧困地域から世界へ。気鋭ダンサーによる圧巻パフォーマンス
ルイ・ウォレカン監督
フランスで哲学と音楽学を学んだあと、クラシック音楽に関するドキュメンタリーを多数手がけてきたウォレカン監督(写真・右/後はリル・バック)。世界各国の映画祭で大きな反響を呼んだ本作が誕生したきっかけや撮影時のエピソード、そして日本への思いについて語っていただきました。
―リル・バックと初めて会ったとき、どのような印象を受けましたか?
監督僕はLAで振付師のバンジャマン・ミルピエと仕事をしていたんですが、そのときに彼から「今度、新進気鋭のダンサーとミーティングをすることになっているんだけど、すごい奴なんだよ!」と話があったんです。当時、リル・バックはまだあまり知られていないダンサーでしたが、彼のことを話すバンジャマンの興奮からもすごさが伝わってくるほどでした。
その後、スタジオに行って、最初に目に飛び込んできたのは、バッハの曲に合わせて情感豊かに踊っているリル・バックの姿。僕は1秒で魅了されてしまいました。そして、これを映像に収めなければいけないという直感が働いたのを覚えています。
―画面を通してでも、彼の圧倒的な存在感は伝わってきました。
実際に、撮影を始めてからはいかがでしたか?
監督これは若い世代だからかもしれませんが、彼はカメラに撮られることに慣れているので、まるでカメラと対話するかのように自然体で踊ってくれました。