2021年11月22日 21:40
パパ活女子の前に現れた女性作家の目的は…打算的に始まる“百合”模様を描くコミック
打算的に始まる関係だが、「消費」というのも幌山さんが描きたかったテーマのひとつ。
「最近はリアリティショーなどが人気で、結果としての作品だけでなくその過程までエンタメになっていますよね。マンガの場合も、実生活でつらい体験をしたら『それをネタにしなよ』と言われることに、自分はすごく違和感があったんです。消費自体は止められるものではないけれど、受け取る側がもう少し自覚的になったら、何かが変わるんじゃないかなっていう思いはあります」
意地の悪い見方をすれば「百合」も消費を煽る言葉といえるが、だからこそこだわって描いている。
「他者を好きになるときの理想として、まずはその人の個性に惹かれたいですよね。この二人も『女性だから好き』ではなく、『好きになった人が女性だった』っていう、性別以前に人間同士の出会いであることを基本に考えています。男だから、女だからではなく、やっぱり人間同士の感情を描きたいんですよね」
物語に引き込みつつ「多くの人が持っている曖昧な感情に形を作りたい」という幌山さん。酸いも甘いも、そしてビターも噛み分けた人生のかけがえのない瞬間がそこにある。
『マーブルビターチョコレート』pixivで注目された作品を大幅に修正、描き下ろしを追加。