2021年11月28日 19:30
衝撃レベルの美しさ…! 日本が誇る金魚絵師、深堀隆介の超絶技巧アートが上野に集結
――すごくリアルなのに、現実にはいない金魚。おもしろいです。
深堀さん江戸の絵師たちも、想像しながら襖に虎や龍を描いていますよね。脳でビジョンが見えているから、あたかもそこに龍がいるように描けるのです。彼らの絵は泥臭くて、そんなにリアルではないかもしれないけど、龍が生き生きと魂をもっているように見える。それがおもしろいし、僕も魂が宿っているように描きたいのです。
昔、展覧会をやったとき、僕の作品のことを詳しく知らないお客さんから、「餌をあげなくていいんですか。口をパクパクしていたわよ」といわれたことがあります(笑)。
「あれは絵ですよ」といったら「動いていたじゃない」と。
うれしかったですね。その人には動いて見えたのです。CGのようなものを使わなくても、人間には心の中で金魚を動かせる能力が備わっています。ほんの少しなら動いているように見える、僕のはそんな作品なのです。
なぜ金魚を描き続ける?
――深堀さんは、放置していた水槽で生き残っていた1匹の金魚の美しさに魅了され、金魚を描き始めたとのことで、この体験をご自身で「金魚救い」と呼ばれています。ずっと金魚だけを描き続けているのですか?
深堀さん20年前に金魚を描き始めたときは、アーティストをやめようと悩んでいたころでした。