2021年12月12日 18:00
あのジョブズも購入! “心に響く”美しい日本を描いた川瀬巴水の新版画
ほかにも、復興途上の東京や、昔ながらの美しい東京を描いた作品も生み出し、国内外で高い評価を受けます。
特に巴水らの「新版画」はアメリカで人気があり、オハイオ州では大規模な展覧会が2度も開かれました。
スランプや戦争も…
人気を博していた巴水ですが、その後もスランプに陥ったり、戦争による空襲の激化で疎開したりと数々の困難が彼を襲います。
戦争によりアメリカとの関係も絶たれていましたが、終戦後は進駐軍が“お土産”に版画を買い求め、再びブームが到来。巴水の作品もたくさん売れました。
1957年、胃がんにより74歳で逝去。絶筆となった《平泉金色堂》は、死後に版画が完成しました。
12月26日まで開催中
巴水の作品を見ていると、大正から昭和初期の雰囲気がよくわかり、日本の美しさを再発見できます。また、雪や雨の細かい描写や、夕景や夜景などの深い青の発色も大変美しく、彫師や摺師の技術力の高さにも感動します。
なお、会場には「ジョブズと巴水」のコーナーも設けられています。新版画のコレクターだったジョブズは、巴水の風景画を気に入り、1980年代に何度か来日して作品を数十点購入。ジョブズが買った作品と同じ版画も展示されています。