2022年2月16日 19:30
「日本とイランの映画には共通点がある」イランの気鋭監督が語る日本の影響
人間なので、どうしても間違いを犯すことはあると思いますが、死刑制度という法律にはそういった“バグ”があると考えています。
―死刑制度を取り上げようと思ったきっかけなどもあったのでしょうか。
モガッダム監督実は、父が政治犯として処刑されてしまったこともあり、私にとっては身近な題材だったので、長年温め続けていました。この作品を制作するにあたって、死刑制度に関係のあるさまざまな人たちにリサーチをしましたが、その過程で「これはイランだけでなく、死刑制度があるすべての国にいる人々の物語なのではないか」と考えるようになっていったのです。
日本でもよく見られるテクニックを取り入れたかった
―本作に登場する白い牛は、「死を宣告された無実の⼈間」を表しているのだとか。そのほかにも劇中でメタファーやダブルミーニングを込めたシーンがあれば、教えてください。
サナイハ監督まず白い牛についてもう少し詳しく説明すると、コーランのなかにある牛の章が罪や罰に関するすべてのもとになっているので、今回使用することにしました。イスラムの世界では神に牛を捧げる儀式もあるほど、牛は無垢や謙虚さの象徴とされていますから。