2022年2月27日 18:00
悪夢のような体験がアートに… 「シベリアの画家」香月泰男の軌跡をたどる展覧会
黒塗りの画面に亡霊のような顔が浮かびあがる絵など、心に深く突き刺さる作品を数多く残した画家、香月泰男(1911-1974)。彼の生誕110年を記念した展覧会『香月泰男展』が、練馬区立美術館で開催中です。画家から兵隊になり、戦後はシベリアに送られ、帰国後再び画家に戻った香月は、自身のつらい体験を20年以上も描き続けました。展覧会の様子と彼の人生をあわせてご紹介します。
画家として認められたが…
【女子的アートナビ】vol. 236
香月泰男は、代々医業を営む家の長男として山口県に生まれます。幼いころから絵を描くのが好きで、20歳のとき東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学。学生時代は、ピカソやゴッホの作品などから影響を受けます。
卒業後は、美術教師として北海道に赴任。
その後、故郷の山口県にある女学校に転任し、教師をしながら公募展に絵を出品していきます。
27歳で結婚し、1939年には第一子が誕生。また、文部省美術展覧会で特選を受賞するなど、画家としても認められはじめましたが、そのころ第二次世界大戦が勃発していました。
中国からシベリアへ…
1942年に召集令状を受け、翌年、32歳のとき満州国(現・中国東北部)