2022年8月20日 18:30
パリで絶賛! 仏で2つも勲章をもらった巨匠・長谷川潔の「ゾクゾクする版画」
その2冊を使ったボリューム感のある展示になっているので、刷りを比較しながら文字と挿絵の関係などご覧になっていただける機会になっています。
『長谷川潔 1891-1980展』展示風景
滝沢さんさらに、長谷川が影響を受けた画家や、パリで交友していた画家たちの作品も展示しています。関連作家の版画を並べることにより、長谷川の仕事の周辺から制作の背景を理解しながら鑑賞できます。
また、代表的な版画制作の技法である「メゾチント」と「エングレーヴィング」について理解していただけるようコラムで解説し、道具もあわせて展示しました。
なぜフランスで高評価?
長谷川潔《コップに挿した枯れた野花》1950年、エングレーヴィング、282×228㎜ 町田市立国際版画美術館
――長谷川はフランスで勲章をもらうなど、高く評価されています。どんな点が評価されたのですか?
滝沢さんとにかく良い作品をつくっていましたし、技法的な観点からも評価されていました。パリで活動するなかで、長谷川は日本人として東洋と西洋を融合させた独自の作品をつくりました。まずは、その点が評価されたのだと思います。
もうひとつは、メゾチントやエングレーヴィングという西洋の古典技法を現代の版画表現として復活させたことです。