2022年9月2日 19:30
今井美樹「走れるうちは走ったほうがいい」ネガティブな気持ちに囚われない生き方
―今井さんにとって、タエ子はどんな存在ですか?
今井さん30年前の私はタエ子ちゃんとほぼ同じ年でしたが、20代後半くらいの頃は自分のことでいっぱいいっぱいなので、近くにいてくれる人のことがよく見えていないことってありますよね?タエ子ちゃんは、まさにそんな存在だったのかなと。タイプは全然違いますが、年齢を重ねれば重ねるほど、あのときのタエ子ちゃんを愛おしく感じています。
ただ、実は当時の私には、なぜ彼女が紅花摘みに参加したのかはわかりませんでした。でも、思い通りにならない自然と向き合うことは、強い意志を持っていないとできないこと。だからこそ、自分がわからなくなっている女の子が自分を取り戻すために、高畑勲監督が紅花と引き合わせたんだろうなといまはそう思っています。
継続しているものは、漫然と続いてきたわけではない
―なるほど。また、本作では紅花の作業工程や歴史など、普段なかなか見ることができない様子が丁寧に映し出されていて、非常に興味深かったです。
今井さん恥ずかしながら、私自身も知らないことだらけでした。
「日本に昔からある文化のひとつですよね」と言いながら、当たり前にある色合いだと思っていましたし、意味合いも知ったつもりになっていましたが、こんなにも大変だったとは……。