2022年11月1日 19:30
マンガ好き必読! マンガ家と編集者の関係性が垣間見える、松本大洋『東京ヒゴロ』
読み始めたときから、傑作の予感しかなかった。雑誌でコミック特集が組まれれば目利きたちが大プッシュし、ネットでも大きな話題に。2巻の発売を、みなが首を長くして待っていた。それが、松本大洋さんの『東京ヒゴロ』。デビュー30年を超えて、初めてマンガ界を舞台に据えた。
マンガを愛する人たちの群像劇。
ストーリーは、マンガ編集者の塩澤和夫を軸に進む。関わったマンガ雑誌が廃刊となり、30年勤めた大手出版社を退社した塩澤。
一度はきっぱり業界と縁を切るつもりでいたが、マンガへの未練は断ち切れず、自分の理想とする雑誌を立ち上げようと奔走する。
「いつも作品は、奥さんでもあるマンガ家の冬野さほと作っています。ストーリーやキャラクター設定なども二人で話し合いながら作ったり壊したりを重ねて、だんだん人物像が具体化していきます。お世話になっていた編集さんが退職したのを受けて、会社を辞めた中年編集者のその後を描いてみようと思ったのが本作のきっかけでした。編集者を主人公にして描くにあたって、『COMICばく』というマンガ雑誌(※1987年に第15号で休刊)を作った夜久(やく)弘さんという編集さんが書いた本『「COMICばく」