2022年11月1日 19:30
マンガ好き必読! マンガ家と編集者の関係性が垣間見える、松本大洋『東京ヒゴロ』
とつげ義春』を読んだんですね。夜久さんが素敵で、塩澤のキャラクターのイメージを作るときにとても影響を受けたと思います。塩澤は、マンガ家の立場から思う、理想の編集者像かもしれませんね」
塩澤は新雑誌の執筆陣集めのため自らが「これぞ」と思うマンガ家たちを訪ねていく。そのときに交わされる対話から、各人の創作哲学やマンガ家と編集者の関係性などが垣間見えて、マンガ好きにはたまらない。
2巻では、塩澤の後輩編集者・林と実力はあるが問題児のマンガ家・青木とのやりとりが多く描かれる。こじれていくふたりが起こす変化がドラマティック。
「マンガ家と編集者の相性に関しては『仲が良ければよい』ということでもなくて、たとえば人間的には気が合わなくてもお互いの間に起こる化学変化の結果で作品は上手くいく場合もあって…。面白いところだなあと思います。
編集者同士の会話の場面もわりと登場しますが、そこは完全に想像で描いたものを、担当編集さんに読んでもらって、相談しながら作っています」
塩澤が真っ先に口説きに行った長作のようなベテランも、すでにマンガからは離れた元マンガ家も、青木のようないつも不安定な若手も、マンガ家それぞれが「描けない理由」