2022年12月9日 20:00
自殺志願者を救うために民間捜索隊を結成…香港の若者に広がる葛藤と巨大な闇【映画】
―では、本作では監督の実体験も反映されているところがあったということでしょうか。
監督劇中にも出てくるチャットアプリは実際にあり、そのなかで自殺者が出そうだという情報が上がったらいろんなグループの人たちが捜索を始めるので、僕自身も見知らぬ人を探したこともありました。そのときに感じた無力感や戸惑いといった感情は、実際に自分の体験に基づいて描いています。
実際の感情をリアルに表現することができた
―起用した多くの俳優は、演技経験のない新人ということですが、演出面で意識したことは、苦労したことは?
監督今回、ソーシャルワーカー役を演じてくれたアイビー・パンさんは、舞台俳優で香港インディペンデント映画には欠かせない存在の俳優さんですが、それ以外はほとんど素人か俳優やアーティストを目指している新人、あとはデモ現場でスカウトした人たちでした。なので、シーンに合わせた気持ちに入るのに時間がかかってしまうこともあり、そのあたりは難しかったところです。ただ、そのいっぽうで“素人の味”みたいなものはあったかなと。特に、彼らは実際にデモに参加した経験があったので、そのときに味わったリアルな感情が表現できたのはよかったなと思います。