滝藤賢一「僕がドラァグクイーンのメイクをしている様子を見て、小1の娘は目がハートに」
――なぜ無名塾だったのでしょう。
滝藤:仲代達矢さん主宰で、卒業生に役所広司さんがいたからですが、授業料がかからないことも大きかったですね。お金がありませんでしたから(笑)。無名塾に入ると、最初からお芝居にのめり込みました。というのも、振り向き方から歩き方、声の出し方まで、すべてにおいてダメ出しの嵐。楽しいというより、必死になれるものを見つけたという感じです。当時はもちろん映像のお仕事は皆無でしたので、自分が芝居をする場を必死に探してました。誰も用意してくれませんからね。
出演者が5人なのに、お客様が2人という舞台もありましたし、公演の直前まで客席作りをして、お客様が少なく見えないように、客席の間隔を広げたりして、ごまかしたことも…。
――そんな時代も経験されているとは。今では大変なご活躍で、今日の撮影中もすれ違う人たちが滝藤さんに気づいていたようでした。滝藤:街を歩いていて気づいていただくようになったのは、ドラマ『半沢直樹』に出演してから。エスカレーターに乗っていたら、反対側から上ってくる人全員に気づかれたこともあって。
――嬉しいものですか?
滝藤:そりゃ嬉しいですよ。遂に発見された、新種の微生物の気持ちでしたね(笑)。