岡本玲「高齢者の方々の性や孤独に関する事実を知り、打ちのめされました」
でも、だからこそいま言えるのは、逃げずに向き合ってきてよかったなということです。
孤独って得体の知れないもので、そのときによって色も温度も違いますが、それを自分がどうやって手のひらで転がしていけるかというのが大きいのかなと。そういう楽しみ方ができるようになれば、人としても役者としても豊かになれるんじゃないかなと最近思えるようになりました。孤独も悪くないかもしれないと感じているところもあります。
―そう思えるようになったのは、どうしてですか?
岡本さん年齢を重ねてきたこともありますが、もしかしたらこの職業特有なものかもしれません。というのも、孤独ではない役というのがあまりないので、お芝居を通していろんな孤独を味わっているんですよね。だから、「このタイプの孤独は経験したことがある」と感じて戸惑わなくなったのかなと。
しかも、私の場合は自分の孤独もお芝居として消化できるので、それが孤独を楽しめるようになった要因だと思います。
今回演じたマナも、自分のコンプレックスや孤独と向き合うきっかけをくれたので、そういう意味でも出会えてよかったです。
昔は疑ったり、不安になったりすることも多かった
―本作の現場ではシニアの方々がたくさん参加されていますが、人生の先輩から学んだこともありましたか?
岡本さんみなさんリハーサルでも本番でも同じお芝居をされないんですけど、それをすごく楽しんでいらっしゃるところがいいなと。