斎藤工「解像度の高い会話になったと実感した」 福山雅治や木村拓哉との仕事を振り返る
もしかしたら説明しているうちに、自分のアイデンティティよりもその場の雰囲気を優先してしまい、本音を言いづらくなるのかもしれません。相手の反応や顔色をうかがいながら、その状況においてのベストアンサーを探してしまうと、意思疎通を図るためのコミュニケーションからはどんどん乖離(かいり)していく気がします。僕は、コミュニケーションとは、自分の本音や本質、恥部までをも相手にさらけ出すことでもあると考えていて。“英語脳”での会話なら、それがスムーズなのかもしれません」
仕事で出会った福山雅治さんや、木村拓哉さんもまた、斎藤さんが言うところの“英語脳”の人たち。
「以前から、僕の作る映画に出資していただき、応援し続けてくれている福山さんや、昨年MVを撮らせてもらった木村さんは、“いい作品を作る”という結論が初めから明確に掲げられていたので、本音での会話のやり取りはもちろん、具体的で、円滑だと感じました。僕も、作品を監督するという立場で大きな責務を背負い、そして認識することで、より直接的なやり取りができただけではなく、解像度の高い会話になったと実感したんですよね。そもそもモザイクぐらい粗い状態から始まるものを、お互いにどれだけ解像度を高めていくことができるか。