斎藤工「解像度の高い会話になったと実感した」 福山雅治や木村拓哉との仕事を振り返る
これは、コミュニケーションをさらに深めていく鍵にもなり、プロテクトした状態をキープしながらでは難しいでしょう。顔の見えないSNSの世界ではそれでいいかもしれないけれど、対面して相手を知ろうとするなら、背伸びをやめて、地面にしっかりと“かかと”をつけて初めて、本音の部分での会話が始まると思うから」
特に学びが多いと感じるのが、撮影現場で子役と接する時だそう。
「監督として子役の方々と接していると、大人が思うよりもずっと感度が高くて、例えばもし子供扱いしたら、それをビビッドに感じ取っているのがわかります。僕自身も幼少期に大人との距離を感じた経験を今でも覚えているし、誰にでもそんな経験はあるはず。子供であることを押し付けたり、子供だからこうしてほしいという要求をすることで、大人と子供の間に線引きをしてしまうことになり、その時点で子供は心を開かなくなります。また、大人が子供の自分に合わせてくれているんだとわかると、ありがたさを感じながらも、本来のスタンスで接してくれていないんだという劣等感を抱くかも。子供の本質を無視しては、いつまで経ってもコミュニケーションはとれないでしょう。だから僕は、子供でも赤ちゃんでも、大人と同じように『さん』づけで呼ぶし、子供扱いはしないように心がけています。