国家権力が潰した天才プログラマーの真実…「この問題は今にも通じている」日本映画界の新鋭が語る危機感
“夭折の天才プログラマー”と呼ばれる金子勇と弁護団の長きにわたる戦いと、知られざる真実に迫った本作。そこで、その裏側についてこちらの方にお話をうかがってきました。
松本優作監督
2022年に『ぜんぶ、ボクのせい』で商業映画デビューを飾り、高く評価されている松本監督。今回は、企画から約 4 年の歳月をかけて完成させた本作の見どころや現場の様子、そして自身の映画にかける思いなどについて語っていただきました。
―まずは、本作の監督をやりたいと思ったきっかけから教えてください。
監督事件当時はまだ小学生だったので、Winnyのことをまったく知りませんでした。ただ、いろいろと調べていくなかで、これはどうしても映画にしなければいけないという思いがどんどん強くなっていった感じです。
―「映画にしなければ」と思ったのは、金子さんの生き方に興味を持たれたからか、それとも日本の警察や裁判の在り方に対して思うところがあったからでしょうか。
監督その両方ですが、特に日本における刑事裁判の問題点はいまにも通じる部分があると考えています。金子さんは第一審で有罪になったときに罰金を払っていれば自分の好きなプログラム作りをそのまま続けることもできたのに、そうせずに戦ったところに未来へ残そうとしたメッセージがあると感じました。