前野健太「キャストのみなさん全員が天才なんです」 『おとこたち』の音楽を手がける
細かい音楽への要求を素直に聞いてみるのが今回の僕の仕事かなと思っています」
4人の男たちの約60年にわたる人生を描いた本作。それぞれにとっては切実ながら、ドラマティックというほどでもない、誰にでも起こりそうな出来事が淡々と描かれていく。
「日常の些細な会話やしょうもない言い訳、ボソッと出る独り言とかが歌になっていますが、すごい着眼点ですよね。どれも日常に近い言葉だったり感情ですが、そこに音が乗り宙に舞ったとき、『愛している』みたいなことよりもずっと飛距離が出るし、希望を感じるものになる。岩井さんはそんな音楽の力を使いたくて、ミュージカルを作ろうと思ったのかもしれないですね」
キャストの中には、ミュージカルの金字塔といわれる『レ・ミゼラブル』で主役をはった吉原光夫さんや橋本さとしさんも名を連ねる。
「キャストのみなさん全員が天才なんです。動きひとつ、セリフを発するときの表情や声に、その人が生きてきた厚みや人間的な魅力、その雰囲気が表れていて、歌声に触れるだけで幸せな気持ちになる。アンサンブルの方まで全員が天才です」
PARCO劇場開場50周年記念シリーズミュージカル『おとこたち』時おりカラオケボックスや飲み屋に集まっては、互いの近況を語り合う4人の男たち(ユースケ、藤井、吉原、橋本)。