次期直木賞、大本命作品も! 歴史・時代小説&新鋭作家のおすすめ作品を紹介
おすすめの歴史・時代小説、若手作家の作品について、書評や著者インタビューを通し作家と作品のきらめきを伝えている、ライターの三浦天紗子さんと吉田大助さんに語っていただきました。
本格派だけど親しみやすい。一級の歴史・時代小説は必読!
三浦天紗子(以下、三浦):最近、時代小説がまたきていますね。コアなファン以外も手に取りやすい作品が増えて、じわじわすそ野が広がっています。たとえば永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』。
吉田大助(以下、吉田):これは面白かったですね~。芝居街で起きたある仇討ちについて5人の話者がそれぞれに語り、少しずつ真相が見えていく「回想の殺人」ミステリーですが、江戸に生きる人々の生活や感情の描写が秀逸でぐんぐん引き込まれました。次期直木賞、大本命だと思います。
三浦:永井さんは去年直木賞の候補作になった『女人入眼』も素晴らしかった。本当に筆達者な方ですよね。
吉田:江戸を舞台にした作品を長く書かれているから、史実も文化も庶民の暮らしも隅々まで知り尽くしている。いってみれば在野の研究者ですよね。土台があるからここまで書けるわけで、それでいうと蝉谷めぐ実さんも同じです。