『名探偵コナン 黒鉄の魚影』音楽担当・菅野祐悟が明かす、劇伴創作秘話
そこにたどり着けるかがとても重要。ビジョンが見つからないうちに曲を書き始めても、なかなかうまくいきません」
また、作品の世界観といかにシンクロさせるかも重要なポイント。
「2時間のスケール全体を眺めた上でワンシーンをぐっと近くで見つめる。2つの視点を持つことで、そのシーンがどういう音楽を求めているのかがよりクリアになってきます。さらに、もしかしたら最も大切なことかもしれませんが、僕自身が本当の意味で心を震わせて曲を書いているかどうか。それがないと、最終的にはいい音楽にはならないと、僕は思っています。まっさらな頭に監督やプロデューサーが求めるもの、そしてファンが求めるもの、さらに世界のトレンドなどさまざまな要素をインプットし、その上で、自分自身の心が最も震える最適解を見つけ出す。そのために、常に自分の感性を研ぎ澄ませていたいです」
劇伴づくりは、監督をはじめとしたスタッフとデモテープを通して心のキャッチボールをしている感覚、と菅野さんは言う。
「自分が納得できる曲ができれば嬉しいですが、劇伴の場合、まずはやっぱり監督に喜んでもらわないとダメなんですよね(笑)。やり取りをする中で、“すごく良かったです”などの声をかけてもらえると、すごくホッとするし、嬉しい気持ちになる。