安達祐実「過去の自分が今の自分を支えてくれている感じがして嬉しい」
ネガティブな感情を積み上げていく物語ゆえ「演じていて疲れます」と苦笑するが、どこかそれすらも楽しんでいるようなニュアンスが漂う。
「加藤さんの作品は本物の感情でやれるんです。なんなら演じているうちに辛くなるくらい。でもそれが、今の私にとってはめちゃくちゃ大事なことで、なんなら欲しいのはそれだけだと言ってもいいくらい」
俳優として、ほぼ年齢と同じキャリアを積んできた安達さんだからこその深い実感がこもった言葉だ。
「昔は、心地いいリズムでセリフを言うことを正しいと思っていました。たぶんそれは、正解を出していればOKだった子役時代の名残。でも、少しずつ、その分かりやすい正解を出していくことを面白くないと思うようになってくるんですよ。たぶん大人になるってことなんでしょうね。
周りからも徐々に“正解”より“私から生み出されてくるもの”を求められるようになって、最初はどうやればいいか分からなかったです。でも徐々に、『もっと自由でいっか』と思えるようになりました。今、その自由さが受け入れられているのも、芸歴の長さゆえ。そう思うと過去の自分が今の自分を支えてくれている感じがして嬉しいですよね」
劇団た組『綿子はもつれる』すでに夫婦関係が破綻している悟(平原)