「日本のアニメ界は優秀な作家が多い」 世界的児童書を初アニメ化したフランス人監督が言及
あとは、戦後のフランスが復興に向けて活気のあった時代の雰囲気を体現しているというのも要因だと思います。
フルドン監督それから、作家であるゴシニが人物造形と合わせて人間関係をきちんと描いているのも大きいのではないでしょうか。ニコラという子どもには両親と祖父母がいて、さらに友人や教師もいるので、そういう普遍的な人間関係が共感を得ているように感じています。
2人だったからこそ、野心的な作品にできた
―『プチ・ニコラ』はサンペとゴシニの2人が組んだからこそ生まれた作品ですが、初のアニメーション化を実現したおふたりも、2人だったからこそできた部分もあったのではないかなと。
マスブル監督そうですね。実は僕たちも彼らのように、似ているようで全然違うところがある2人なんです。たとえば、彼女はアート学校でちゃんとイラストを学んできたバックグラウンドがありますが、僕はどちらかというと映画の編集や脚本を学んできたタイプ。なので、彼女がサンペで僕がゴシニっぽいと言えるのかもしれませんね。
そんなふうに僕たちは自分にはないものを相手が持っているので、お互いに補い合う関係。だからこそ、ストーリーテリングにしてもアートディレクションにしても、違う方向から持ち寄って作っていけたので、おかげですごく豊かなものになりました。