望海風斗「共演者の方々と心を通わせて、お芝居をみんなで作り上げていく作業が好き」
――オーディションだったんですね。宝塚でトップスターまで務められていて、オーディションを受けるってすごいですね。
外の世界のことも、オーディションというものも、あまりよくわかっていなかったのがよかったんだと思います。とにかく与えられた課題をこなすことに必死でしたから。原作の映画を何度も観て、ニコール・キッドマンのサティーンを研究するんだけれど、女性を演じる自分がしっくりこないし、使ったことのない語尾にも戸惑って…。でも、おかげでオーディションまでに自分が乗り越えるべき課題がはっきりしたし、明確なゴールがあったから頑張れたとも思います。その後の女性の役に違和感なく入っていけたのは、あの経験が最初にあったからですね。
――オーディションへの恐れ、みたいなものはなかったんですか?
とにかくわからないことだらけなので、これが世に言うオーディションというものなんだって感覚で、当たって砕けろ精神。
この世界でやっていこうと思うなら、ここをまずは乗り越えないとって。
――退団当初から、舞台に軸足を置こうと思われていたんですか?
そうですね。退団を決めた時は、先のことを何も考えていなかったんです。