望海風斗「共演者の方々と心を通わせて、お芝居をみんなで作り上げていく作業が好き」
宝塚歌劇団の、入団1年目から順を追って育てていって、トップになるまでにちゃんと準備ができているシステムが、私にとってすごく居心地がよかったんだなと思いました。退団して、女性の役の経験がない状態で、この世界でずっとやられてきた方々ばかりのカンパニーの中に飛び込むわけです。準備ができてない私がちゃんと入れるのかなって、焦っていたんですね。女性を演じるには足りないものがいっぱいあるのはわかるんです。それでボイストレーニングに通っても、気持ちが焦っているから、自分は15段目くらいのことをやりたいのに、1段目から教わることにジレンマを感じてしまう。早くそこに行きたいのに、なかなか辿り着けない自分に、焦りが募った時期がありました。
――でもその一方、宝塚で17年培った力を実感することもあると思いますが、とくに感じるのは?
舞台をやり切る力と集中力。そして、その日のお客様のエネルギーをどう今日の芝居に活かして動かしていくかでしょうか。
あと、男役の、あの照明や衣装、セットに負けないエネルギーみたいなものをバーンって瞬間的に放つ力というのは、今に活かされているんじゃないかと思います。――退団から約2年経ち、ご自身に向いているとか、好きな作品や役の方向性が見えてきた頃なのかなと思うのですが?
やっぱりミュージカルが好きですけれど、その中でもお芝居がちゃんとメインである作品が好きなのかなというのは、いろいろ経験して思いました。