ゴッホは静物画を見るべし! 37歳で没した天才画家の変遷をたどる展覧会
ヨーロッパ絵画史のなかで、静物画というジャンルが確立したのは17世紀ごろといわれています。当時、市民階級が豊かになったネーデルランド(現在のオランダ)では、身の回りの事物や工芸品などをリアルに描いた小さな静物画が流行。市民たちは、それらを自宅に飾り楽しんでいました。
静物画について、はじめは油彩を描くための修業としてとらえていたゴッホは、瓶や壺、鳥の巣など伝統的なモチーフを描いていました。
ゴッホ、ドラクロワに学ぶ!
「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景
1章の後半では、19世紀の静物画を展示。ドラクロワやピサロ、ルノワールなどの華やかな作品が並んでいます。
ゴッホは、特にドラクロワ作品の色彩に感銘を受け、弟のテオに手紙で作品や制作姿勢について語っています。ドラクロワは、ゴッホの作品に大きな影響を与えた画家のひとり、といわれています。
1886年、パリに移住したゴッホは、印象派の明るい作品からも影響を受け、初期のころと比べると、色彩も描き方も大きく変化しました。会場に展示されているパリ初期時代の花作品は、驚くほど色彩が鮮やか。ゴッホの画風の変化がよくわかります。
ゴッホ、モンティセリに学ぶ!
アドルフ=ジョゼフ・モンティセリ《花瓶の花》1875年頃 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
2章では、花の静物画に焦点を当てて紹介。