「元恋人の2人を再会させることに怖さもあった」トラン・アン・ユン監督が語る名優たちの共演秘話
そういうおふたりだからこそ、できたこともありましたか?
監督彼らはケンカ別れをしたようなところがあったので、本作で再会させることに対して、実はちょっと怖さもあったんです…。でも、彼らは偉大な俳優ですからね。実際は何の心配もいりませんでした。
ただ、印象に残っているのは、2人が野原を歩いているシーンを撮影したときのこと。ジュリエットが振り向いて、ブノワにキスをしたんです。すると、「カット」がかかった瞬間に、ブノワが僕のところにきて「シナリオに書かれていなかったけど、ジュリエットにキスをしろって言ったんですか?」と抗議されました(笑)。
―裏でそんなことがあったとは驚きですが、どのように対応されたんでしょうか。
監督「僕は俳優じゃないからジュリエットの気持ちはわからないけど、彼女が『そのほうが美しい』と感じてキスをしたんだと思うよ」と答えました。
撮影のなかでも最後のシーンだったので、彼女にとってはキスをするラストチャンスだと思ったのかもしれないですね(笑)。
―事前におふたりの過去についてはご存じで怖さも感じていたにもかかわらず、それでもこの2人に決めたのはなぜですか?
監督まず、ジュリエットはウージェニーの役柄に見事にマッチングしている俳優だと思ったからです。