『ムービング』監督が明かすキャスティング秘話「韓国にいる20代前半の俳優をほぼ調べ尽くした」
――ミヒョンの「怪物」しかり、心に刺さる台詞もたくさんあった今作ですが、監督自身が好きな台詞はありますか?
2話に、ボンソクが子どもの頃、自分が空を飛べることを友だちに自慢したくて見せてしまったばかりに、友だちがマネをしてケガするというエピソードがあるんです。その時のミヒョンの「本当に大事なのは共感力よ」「気持ちを傷つけるなんて英雄じゃない」という台詞。特別な能力を持っていることではなく、人の気持ちを理解できる人こそが英雄である。『ムービング』のテーマを象徴するようなこの台詞が、私は好きです。
――確かに本作は共感力や優しさに溢れる物語で、だからこそこれほど熱く支持されたのではないでしょうか。
『ムービング』が配信されたのは、コロナ禍の規制が緩和されたあとです。人と自由に会えない状況が続いたなかで、相手の痛みに共感するという感情が、以前よりも醸成されていたのではないかと思います。また、韓国では家族への思いが強くなった人もいれば、反対に個人主義が加速するという両極端な変化も見られます。
そんななか、家族愛という懐かしい感情を『ムービング』がちょうどよく刺激したのかもしれませんね。
――ぜひともシーズン2を期待したいです!実際どうなのでしょう…?
私は、やりたい気持ちでいますよ。