江戸時代から現代まで…『大奥』『きのう何食べた?』作者による、連作オムニバス『環と周』
『大奥』『きのう何食べた?』など近年は長編作品が続いていた、よしながふみさん。『環と周』は1巻完結の連作オムニバスだが、構想自体は16~17年ほど前からあったのだそう。
時代も関係性も異なる環と周のかけがえのない巡り会い。
「最初の現代の話と最後の江戸時代の話は、大まかに考えていました」
しかし先述の2作の連載が予定以上に長引いて、このタイミングに。
「当初は恋愛関係の男女を描くイメージでしたが、環(たまき)と周(あまね)の性別が時代によって入れ替わったりして、より幅広い関係性になったのは、今だからこその変化といえますね」
現代編では、中学生の娘と同級生の女の子のキス現場を目撃する妻と、それを報告される夫の反応が描かれる。誰にも打ち明けていないものの、夫の初恋相手も実は同性で……。明治時代編では女学校で出会い、結婚後も文通を続ける2人の女性が。’70年代編は余命わずかの中年女性と、同じアパートに住む少年の交流が。
戦後編では、帰還したかつての上官と部下が闇市で助け合って生きる姿が。江戸時代編では、仇討ちのために再会する幼馴染みの男女が登場。
「それぞれの時代の人にとっての普通の感覚を意識しました。