72歳のおばあちゃんがアクションスターに!? アクション映画への疑問から生まれた話題作
それくらい日常にアクション映画があることを作り手側も知っているので、過剰なほど供給することで観客の心理をうまく利用しているところはあると考えています。
「いまが一番」という風潮には不安を覚えている
―そして、映画のなかで暴力が物事の解決策になりうるということがつねに示唆されていることにも問題があると感じているとか。
監督おそらくこれはフィリピンだけでなく、世界中で言えることかもしれませんが、現実の世界でも暴力で物事を解決しようとしているところがありますよね。それこそがいまだに戦争が終わらない理由でもあると思っています。
―また、フィリピンと言えば2022年のジェンダーギャップ指数でアジア最高となる世界19位となりましたが、以前に比べて女性が働きやすい環境になっている実感はありますか?
監督正直、私自身はそこまでよくなっているとは感じていませんし、数字がいいと言われてしまうことに対して逆に心配になっています。なぜなら、「いまアジアで1位なんだからこれでいいだろう」とみんなが考えてしまうと、それ以上よくなることがなくなり、むしろ悪くなってしまうことが予想されるからです。
しかも、実際のフィリピンは政治でもさまざまな業界でも、重要なポジションにいるのはだいたい男性。