エストニアで同性婚法案の議決を後押しした話題作「完璧なタイミングだった」
僕も少年時代はみんなと同じように、ああいう風になりたいなと憧れていたので、ヒーロー的存在のキャラクターを演じられることはうれしかったです。
あとは、子どもの頃に話として聞いていたソ連の支配下にある国がどういう状況だったのかを探ってみたいという気持ちもありました。
実際のセルゲイは、太陽のような存在感の人
―トムさんは本作のモデルであり原作者でもあるセルゲイ・フェティソフさんには生前何度もインタビューをされたそうですが、印象に残っていることはありますか?
トムさんまず彼から繰り返し念を押されたのは、「政治的なことではなく愛についての映画にしてほしい」ということでした。同性愛が迫害されていた時代が背景にはあるものの、愛を中心に描いた作品にしたい思いが強かったようです。
それから印象的だったのは、彼の太陽のような存在感。光がさしているかのようなたたずまいには心を打たれたので、そのあたりは演じる際に意識しました。こういう作品だと俳優はメランコリーたっぷりに演じたがるものですが、彼自身がそういう人ではないんですよね。悲しい瞬間は多くても、彼の持つ軽やかさや希望を失わない姿、そしていろんな制限を飛び越える強さを体現している様には大きな影響を受けました。