恋心は今も昔も一緒!? 『和泉式部日記』の和歌から読み解く“平安女子の恋のリアル”
「和歌の魅力は、五七五七七という31文字のなかに『二人はどんな関係なのか』と楽しい想像を膨らませる種があるところ。ここでは『和泉式部日記』から、平安時代の恋の移ろいが感じられる和歌を紹介します」
『和泉式部日記』に見る恋の育み方
『和泉式部日記』は、和泉式部と、次期天皇候補の一人であった敦道親王との恋の顛末が書かれた回想録。
「和泉式部は中流階級の出身なので、身分違いの恋。そんな二人の恋の始まりや駆け引きなどが詳細に綴られていて、平安時代の恋はどんなステップを踏み、育まれていったのかが時の経過とともにわかります」
和泉式部が歌人だったこともあり、『和泉式部日記』には敦道親王と交わした和歌が多数収録されている。
「紫式部は和泉式部の和歌を、素直な詠みぶりで実にいいと評している。言語的に理解しやすいのが魅力」
恋の始まり
和泉式部と敦道親王。和歌を得意とした二人の、なんとも巧みな、恋の始め方。そもそも和泉式部は、敦道親王の兄の為尊(ためたか)親王の恋人だったが、為尊親王は若くして亡くなってしまう。
憂う彼女に、使者を介して橘の花の枝を贈った敦道親王。その返事として和泉式部がこの歌を詠み、二人の恋が始まる。