恋心は今も昔も一緒!? 『和泉式部日記』の和歌から読み解く“平安女子の恋のリアル”
薫る香によそふるよりはほととぎす聞かばやおなじ声やしたると【和泉式部】
おなじ枝に鳴きつつをりしほととぎす声は変はらぬものと知らずや【敦道親王】
敦道親王からのアプローチに大胆な返歌でハートを鷲掴み。
橘の花は、『古今和歌集』の一首で“昔の恋人の袖の香り”と詠まれたことから、和泉式部は敦道親王が「為尊親王を懐かしんでいるのでしょうね」と言いたいことに気づき、「橘の花に託すより、あなたの声が彼と同じか直接聞きたいわ」と誘うような歌を送る。親王の返歌も「兄弟なので似ている」、つまり“好きな気持ちも同じ”と積極的!
恋の駆け引き
歌を返す間や内容で、ツンとデレを使い分け。和泉式部の立ち回りの上手さが印象的。
和泉式部は敦道親王の返歌を粋だと思う一方、軽々しく応えるのもどうかと思い、しばらく歌を返さずにいる。ヤキモキした親王は再び歌を送り、それに情熱的に応える和泉式部。こうして和泉式部が返歌をする関係に。
うち出ででもありにしものをなかなかに苦しきまでも嘆く今日かな【敦道親王】
今日のまの心にかへて思ひやれながめつつのみ過ぐす心を【和泉式部】
ヤキモキしている敦道親王とちょっとウワテな和泉式部。