光石研「僕の仕事は、現場で知恵を出し合ってワンカットを成立させること」
僕からしたら、そういうたくさん肩書を持てる人たちがすごく羨ましいし、かっこいいなと思います。僕だってできればやりたかったですよ。歌だって、うまかったら歌いたかったですし。
――そういう世代を見て羨んだりすることはありますか?
ありますよ。僕らは抑圧されていた世代ですから、今の若い方が自由にやってるのは羨ましいです。
――光石さんにとっては、厳しくても楽しいのが俳優業だと思うんですが、ここまでずっと楽しいと思ってこられたんですか?
エッセイにも書いているんですが、ある種、俳優業というものに就職した感覚なんですよね。何かを観て雷が落ちたようにビビッときてこの道を目指した、というんじゃなく、たまたま映画に出させてもらって、それがデビュー作になったんです。現場がすごく楽しくて、それでお給料ももらって、こんな面白い職業があるんだって感じでした。
その当時、アルバイトもしたことがなかったし、単純ですよね。だから、演じたいという気持ちより先に、“たまたま経験した映画の現場が楽しかったから、またあそこに行きたい”だったんです。まあ、そこからが大変ではあったんですけれど(笑)。今もあのときの、みんなでワーワー言いながら作ってた楽しさを、また体験したいっていう想いで続けている感じです。