小島秀夫「俳優にオファーするのも実際に会ってから決める」“人は直接、移動して出会うべき”と語る理由
小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第14回目のテーマは「“どこでも窓”から“どこでもドア”」です。
家族やカップル、親しい友人たちと電話をする場合、音声だけの通話をする人は少ないはずだ。今は「FaceTime」(注1)のようなアプリで、声だけではなく、相手の顔や表情、動き、その背景までもがわかる通話が可能だ。
コロナ禍の一時期、一気に普及したのが、「Zoom」(注2)だ。ネット回線で複数人を同時に繋ぐアプリケーションである。海外渡航や移動が制限された当時、国内外の人たちとミーティングや顔合わせが出来るツールは重宝された。自宅から、職場から、公園から、車中から、と何処からでもビデオ映像を双方向に送れるからだ。
若い人たちは、これがあたりまえの日常だと思っているかも知れない。しかし、僕が子供だった1970年代、テレビ電話は誰もが憧れた“まだ見ぬSF世界のガジェット”だったのだ。テレビ電話、エアカー、人型ロボット、月面ホテル。これらは、高度成長期が永遠だと思わせる象徴として、当時のSF映画やアニメ、漫画で描かれた“21世紀の未来図”だった。