益田ミリ「『僕の姉ちゃん』を描いているとき、よく“そう来る?”とわたし自身が思ってるんです」
「長いコロナ禍に描いていたということもあり、“日常”の尊さについての漫画はいつもより多いかもしれません。仕事帰り、花屋の前を通ったちはるが『この、いつもの週末が当たり前と思っているこの日々が輝いて見えたのでした』と花を買って帰ったり、希望ってなにと弟に聞かれ、『明日もまたここでこうしてアンタと他愛ない会話ができるってコトを当たり前に思える』そういうものも希望だとちはるは答えています」
そんなちはるの言葉は、私たちにも日常にある幸せに気づかせてくれる。こんなふうにハッとさせられる“ちはる語録”は他にもたくさん。
「今回も、ちはるの独特のセリフは健在です。『わたしのことを愛さないと決めて生まれてくる男はいない』『生まれただけで貢献だらけさ』。彼女のこういうセリフは描いていてもスカッとします。自己肯定感という言葉がありますが、ちはるは無意識にそれが高い(笑)。『やりたいことってあんの?』と聞かれたときも、彼女は『なにかはある』と即答。
それがなにかはわからないけれど『絶対なにかはある人ってそういうもんでしょ』と飄々としています。この気負いのなさこそが、悩み多き弟には心地いいんだと思うんです」