益田ミリ「『僕の姉ちゃん』を描いているとき、よく“そう来る?”とわたし自身が思ってるんです」
話している途中で“この話、あんまりおもしろくないかも…”と後悔が始まることはしょっちゅうで、基本、聞き役が多いです。そういうところではちはるとわたしは似ていないかもしれません。もちろん似た考え方もあります。弟に仕事の後輩の育て方について質問された時、育てるではなく『“一緒に働いてる人”それだけのことだわな』と答えています。わたしもうんと若い人たちと仕事をすることが増えましたが、年齢に関係なく一緒に働いている人という気持ちでいます」
毎回、単行本のための描き下ろし作品がある本シリーズ、今回、益田さんが単行本オリジナルで描いたテーマは…。
「描き下ろしでは姉と弟が『未来』について語っています。未来が見られるなら『10年後』と言う弟と、『100年後』と答える姉。わたしも100年後が見たいです。
“それもうよくない?”と、今、この日常で感じていることがどれくらい改善されているのか、ちはると同じく確認したいです」
「もうよくない?」の対象はひとそれぞれではあるけれど、それらが改善されることで、もっと風通しのよい暮らしができるようになっているのかも?未来の可能性を語るエピソードは、今作全体にただよう希望を象徴しているようにも思える。