気鋭の映画監督・山中瑶子「多様な人が監督をできたらいいですよね」
そういったミックスルーツの所在のなさと、カナがどこか遠いところに思いを馳せる無責任な曖昧さが、ナミビアの砂漠のイメージに合うと思いました。カナの設定はいろんな点と点が繋がった結果です」
このインタビューに際して、脚本のインスピレーションになった作品を持参してくれた。
「河合(優実)さんに魅力があるのは、これまでの出演作を観れば誰の目にも明らかじゃないですか。なので、せっかくなら見たことのない河合さんが見たくて、カナをすごいイヤな人にしたかったんです(笑)。でも、そんなカナを好きになってもらいたいと思って思い出したのが『パリ13区』です。主人公の女の子が台湾系フランス人で、彼女の持っている推進力と鮮やかさが、まさにカナに欲しかったイメージでした。『ナミビアの砂漠』の関係性のベースにあるのは『ママと娼婦』です。主人公の男が身勝手で、女性とのコミュニケーションも自分を満たすためという、本当にどうしようもない奴で(笑)。
でも人間として本質的で、私は好きなんですよね。この映画の男1女2の関係性を逆にして『ナミビアの砂漠』では女1男2にしました」
脚本は、現場で本番直前に足したり変更することもあるそう。