気鋭の映画監督・山中瑶子「多様な人が監督をできたらいいですよね」
王道の映画が取りこぼしてしまうことが多分にあると思いますし、“若手女性監督”も含めて、多様な人が監督をできたらいいですよね。そうすることで視点が増えて、いろんな映画が作られたほうが豊かですから」
では、国内/国外というボーダーはどうだろう。本作がカンヌ国際映画祭監督週間に出品されるなど、山中監督作は海外で上映される機会が少なくない。
「高校生の頃、近年の日本映画を観てはどうしてこんなにもドメスティックなんだろうと思っていました。私は外国の映画に影響を受けて映画を志しましたし、そういう意味では、海外はかなり意識しています。視野を広く持っていたい。日本固有なもので、世界から見たらスタンダードではないことってありますよね。『ナミビアの砂漠』だとカナが勤めている脱毛サロンとか。
あれ、ちょっと異様じゃないですか?日本の人には説明しなくてもそう伝わるけど、日本の外からはどう見えるのかわからない。そうしたことを、自覚的に物語に取り入れるようにしています。国を超えてわかることもあるし、独特すぎてわからないこともある。そうした価値観の相違に対して自覚的に、日本の人だけが観て面白いということにとどまらない映画を作っていきたいです」