気鋭の映画監督・山中瑶子「多様な人が監督をできたらいいですよね」
「用意したものに合わせてもらうよりも、その日に生まれたムードや偶然を取り込んでいきたいんです。“今、撮れるものを撮る”という強いポリシーを持っているわけではまったくないんですが、私が一人で脚本を書いている時以上に、現場ではみんなの集中力が高まっていて、作品の世界にグッと入っているので、そこで感じたことが一番“本当”に近いのではないかという期待を込めて、その日の気分を選択しています。映画は、そういうことがどうしても映ると思っているので」
性差、ジェネレーション…。山中監督とボーダー。
1997年生まれの山中監督には、“若手”や“女性”という説明がつきがち。ジェンダーやジェネレーションというボーダーについての想いとは。
「子どもの頃は男の子みたいな格好をしてたけど、“女の子らしく”とか周りに言われたことがなくて、自分が女性であることを意識することがあまりなかったんですよね。でも今になって“女性監督”と言われるのは、それまで日本映画界にいなさすぎたってことの裏返しですよね。
いない状態を野放しにしてきた上の世代への恨みはだいぶあります(笑)。でも、“若手女性監督”にしか撮れないものは確かにあると思います。