藤野可織「女同士が仲良くする物語を自分でも書きたい」 女バディ小説に込めた思い
「男同士だったら、極端に言えば死ぬまで冒険をしていてもいい。でも女性はある時期が来ると、妻になったり母になったりして家庭を持つことで、誰かの面倒を見て生活をしていくことが役割だとみなされます。それゆえ、冒険から退かざるを得なくなる。私が無意識に、ピエタとトランジの二人を女子高生にしていたのは、その“ある時期”が来る前の女性だからだったんです。だから続きを書くならば、キャラクターの年齢を変えずに事件を解決するスタイルではなく、二人が歳を重ね、老人になってもずっと事件を解決し続ける、その姿を書きたいと思って長編に取り組みました」
加齢で外見は変化しても、その人の本質は変わらない。
バディものといえば、一人は天才型で、もう一人はその助手など、天才をサポートする立ち位置のことが多い印象がある、と藤野さん。『ピエタとトランジ』も、そのステレオタイプを基本的には踏襲し、トランジは頭が良くぶっ飛んでいるキャラクター。しかし相棒であるピエタはサポート役ではなく、トランジとは別の方向にぶっとんでいる女性。
「人が2人いればどうしたって権力関係が働きますし、それは物語の中でも同じ。でも私はできるだけ人間関係は対等がいいと思っているので、ピエタをトランジのサポートをするだけの存在にはしたくなかった。