藤野可織「女同士が仲良くする物語を自分でも書きたい」 女バディ小説に込めた思い
トランジが事件を誘発し物語が動くのですが、構造的に実は主体はピエタです」
長編の中で二人は、大学を卒業し、社会に出て、そして歳を重ねていく。加齢によってさまざまな変化が訪れるけれど、それでも二人はずっとバディで居続ける。
「歳を取っていく二人を書くにあたって、正直そんなに苦労はなかったです。ただ気をつけたのは、二人が一緒にいるときの、話し言葉や態度。おばあさんになったからといって、ピエタもトランジも落ち着いた話し方をする…みたいなことはない。私自身、歳を重ねて、成長した部分もあるし逆にダメになった部分もあるなど変化を繰り返して、いま中年になっていますが、でも子どものころから今まで自分というものはずーっと変わらず続いているとも感じているんです。だからピエタとトランジが一緒にいるときは彼女たちが何歳でも、高校生時代と同じような言葉遣いで話す、ということを心がけました」
さらにもう一つ、ピエタがピエタ自身の容姿について時々言及するシーンを、意図的にたまに差し込んだのだとか。
「世間一般でいわれる“若くて美しい時期”を越えたピエタが、今の自分の容姿を気に入っている、ということを書きたかったんです。