木場勝己「74歳にしていよいよリア役に」 『リア王の悲劇』を“壮大なコントのようなもの”と語る理由
本作は、老王・リアが、聞こえのいい言葉にばかり耳を傾け、真実を見極められずに悲劇に陥る物語。
「演出の藤田(俊太郎)さんは、今、リアの出方を待っている感じです。僕は何をやり出すかわからない結構危ない俳優ですからね(笑)」
そう言って意味深に微笑む。
「蜷川さんって、ともすると俳優も圧倒されちゃうようなインパクトある“脅し”のセットを作ることが多かったんです。僕はなんとかそこに対抗しようと、蜷川さんの裏をかくというか演出の隙間を狙うようなことばっかりやっていました。自分のセリフを言い終わっても舞台上に居続けたり、脚本に説明されていないのを逆手にとって自分の解釈を足したり(笑)。お互い、それを面白がっていた気がします。以前、演出家のデヴィッド・ルヴォーさんに『テーマだけ伝えればいいってものではない』『舞台の上ではドラマが起こらなければいけない』と言われたんです。
ドラマというのは、人が相手に働きかけることで生まれるもののこと。その言葉が耳に残っています」
ならばリア役の策は?と尋ねると、再び不敵な笑みでかわされた。
「演出家をなだめながら隙間を縫ってやっていこうかと思っています」