本広克行監督「映画の外側のことも考えていかなきゃいけない」 『室井慎次 敗れざる者』制作秘話
――平田さんはご自身の劇団だけでなく、若い演劇人の育成や演劇というジャンルの裾野を広げる活動も積極的にされていますよね。
一昨日も、平田さんがフェスティバルディレクターを務めている「豊岡演劇祭」を観に兵庫に行っていました。オリザさんの『転校生』が、たじま児童劇団の子たちにより上演されていたんですけれど、めちゃくちゃよかったです。
――それは、あの作品のあの役の俳優を、という具体的な何かがあるわけでもなく、ですか?
そうですね。昔の映画関連の本を読むと、小津(安二郎)さんも溝口(健二)さんも、黒澤(明)さんも、みんな養成所に行って役者を探していたんだそうです。あんな巨匠たちがやっていたんなら、僕らも観に行かなきゃダメだろうと思って。でも面白いですよ。宝探しみたいで。
10年くらい前までは1日3本観る日もありました。王子小劇場とかまで。
僕自身はどうでもよくて、作品に人が入ってほしい。
――もともとエンターテインメントがお好きだったんですか?
映画を作りたくて上京して、映画の学校に入ったんですけれど、映画では食えない時代で。それでフジテレビの深夜のバラエティを手伝っていたら、ある日、「お前、映画学校出身なんだからドラマを撮れるだろう」