#001 「ミュージシャンは政治的発言とかしない方がいいって言うよね」。私が“日本の常識”を疑い始めた理由。 | 橋本 紅子の「常識」と「パンク」の狭間で、自由を生み出すヒント。
ヴォーカリストになりたくて、音大に通った。卒業してからはアパレルのバイトをしながらライブをしてきた。 音楽とファッション、みんながごく当たり前に好きなことを私も好きで、政治とか社会問題とか、そういう果てしなく複雑そうなことに興味なんてなかった。“そういうこと”は、興味のある人たちの専門分野で、自分とは遠く離れたところの誰かが勝手に進めてくれる話だと思ってた。 だけどある時ぼんやりニュースを見てて、流れている映像がなんとなく気になって、なんとなく、疑問を持ちかけた。でも、ニュースのコメンテーターの話にも政治家の話にもついていけなくて、「賛成」も「反対」も言えない自分がそこにいた。 このまま30歳とか、40歳になっていいんだろうか。そもそも、こういうのって何かしら自分たちに関係があるから公共の電波でニュースになってるんだよね?たとえば自分に子供ができたとき、その子の生きる社会で何が起きているのか、何もわからない親になっていいんだろうか。
漠然とそう思って、検索窓にカーソルを運んだ。
入学して間もない頃、選択授業で一緒になった隣のクラスの女の子からボイストレーニングの体験レッスンに誘われたことがきっかけで、原宿の小さなボーカルスクールに通い始めた。学校の音楽の授業もすごく楽しくて、やりたいことをどんどんやらせてくれる先生だったから歌うことが大好きになって、「将来の夢は歌手」というのも変わらず、大学はなんの違和感もなく音楽系へ進んだ。 大学では自分と同じ歌をやっていて、しかも上手い子たちにいつも囲まれていたから、「もっとスキルを上げて何か結果を出さなくちゃ」みたいな焦燥感に常に駆られていて、あまり自分以外のことに目を向けたりする余裕はなかったように思う。br /br /centerimg src="http://beinspiredglobal.com/wp-content/uploads/2017/06/紅子_170619_0007.jpg" alt= width=“100%" class="size-full wp-image-2825" />
きっかけは偶然目にした“ある日のあるニュース”
大学を卒業して一年くらいしたある日、アパレルのアルバイトをしながらライブや制作活動をしていた私は、バイトの休憩中にたまたまテレビで流れてきたあるニュースに目が留まった。