「“晒すこと”がものづくりには必要」。 ある男が訴える、“消費者に建前を言わない”という付加価値の存在
3.11後の原発事故の対応に関する政府のウソや、飲食業界・ファストファッションにおける原材料の調達、トレーザビリティ(物流経路の透明性)などの生産背景が問題となり、最近では「もの」や「こと」の背景、そしてストーリーが重要視されるようになってきた。そういったものづくりの “裏側” と呼ばれるすべてをデザインしているクリエーターがいる。2拠点生活をしながら、伝統工芸の職人に密着し、工芸品のストーリーテリングや顧客とのコミュニケーションまでもデザインし、芯から伝統工芸のファンになってもらうことで、地方の活性化に取り組んでいる*1コミュニティエンゲージメント/アートディレクターの石井 挙之(いしい たかゆき)氏だ。今年、デンマークで行われた国連が定める持続可能な社会実現を目的としたグローバルリーダーを育成するための合宿に呼ばれた、たった5人の日本人のうちの1人でもある。食品業界やファストファッション業界で生産過程などの問題が摘発されるようになる以前はものづくりの裏側を公に晒すことは、ネガティブなこととして捉えられてきた。“見栄”や“建前” を気にするあまり、うやむやにしたり、取り繕うことを良しとする風潮が少なからずあった。