「アメリカを真似しすぎる日本」に危機感を覚えた最年少ギャラリストが作る、2010年代の美術史
「好みが細分化した時代」と言われて久しいが、自分と似たような考えの人たちとばかり付き合っていないだろうか。たとえばストリートカルチャー好きはストリートカルチャー好きと、サーフカルチャーが好きな人はサーフカルチャー好きと、といったように似たような志向の人たちと集まりがちかもしれない。人がどうしてそんな関係を選びやすいかというと、共通の認識があれば話が早いし、意見の衝突が比較的少ないから。そのほうが楽に生きられるといえば、その通りかもしれないが、それが続いていくとコミュニティ同士の分断が進み、それぞれの対話が不能になってしまわないだろうか?
「放射能汚染の実際の規模とか東京電力のこととか、情報を出してても、実際のところどうなのかわからないじゃないですか。それがいやだったので17、18歳くらいからテレビは見てないです」。そんなわけでテレビは一切見ないという彼だが、情報の発信元(フォローする人)を選べるSNSは使っているし、インターネットも時にチェックする。だが、それでは狭い視野でしか物事をとらえられなくなってしまわないだろうか。しかし彼の場合は違った。
スペースを似たような価値観の人ばかりの“共感コミュニティ”にしないことを念頭に置いていたからだ。