くらし情報『『CUT』西島秀俊インタビュー 「自分にとっての岐路」となった一作との出会い』

『CUT』西島秀俊インタビュー 「自分にとっての岐路」となった一作との出会い

現場では誰とも挨拶を交わすな。そうやってお前が全身全霊をかけて役に関わる姿を示すことで、みんながこの映画に携わるというのが分かって一緒に進んで行くんだ』と“特別な存在”になるように言われました。周りにどう思われようが、狂ってると思われようが、そんなことはどうでもいい。とにかく良い演技をすることだけを考えろ、と。監督に『全てを出せ』と言われてストレートに出せたというのはすごく大きなことでした」。

撮影中からこの作品が自身のキャリアの中でも特別なものになると西島さんは感じていたそうだが、映画の完成後に監督が漏らしたある言葉でその思いは決定的なものとなる。
「釜山映画祭の会見で監督が『この映画は(映画監督のジョン・)カサヴェテスの映画なんだ』とおっしゃったんです。ナデリ監督は(カサヴェテスの最後の作品である)『ラヴ・ストリームス』の現場にスタッフとしていらしたそうで。
『ずっと撮ろうとしていたけど、どうしても撮れなかった。西島と会って日本で撮ることを決めた』と。僕にとってカサヴェテスは、彼の映画を観て人生が始まったと思えるくらい大きな存在。その人自身を演じていたと撮影が終わった後で知って何だか妙に腑に落ちました。

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