阿部寛インタビュー 変化を求めてさすらう男、その役者道に「カッコよさは必要ない」
これまで過激に役作りすることが多かったけど、『普通にできるじゃん』って思いました」と“自然体”の演技を本作での新たな発見として挙げる。
幅広い役柄をこなすが、阿部寛は決していわゆる“カメレオン俳優”というタイプの役者ではない。古代ローマ人を演じていようが、刑事を演じていようが、常に見た目は誰が見ても阿部寛である。なのに不思議と作品の中では、過去の役柄を感じさせることなくその世界で生きるキャラクターとして存在しているのだ。今回演じた詐欺師のタケさんこと武沢も然り。外見は加賀恭一郎とほとんど変わらないが、中身は全くの別人である。
「今回に関しては、詐欺師だから騙すテクニックをリアルに…といったことは考えなかったです。テツさん(村上ショージ)と組んで日銭を稼いでいる、どこか下町の人情的な雰囲気があったので、役作りというよりは力を抜いて入っていければいいかなと。
『テツさん、あんたさ…』とか普段の自分が使わない下町風の言いづらいセリフも結構ありました。ただ、自分が言いやすいように直せば結局、役を自分の側に近づけることになる。あえてそのままでいきました」。
見た目の変身に頼らず内面で演じ分ける。