阿部寛インタビュー 変化を求めてさすらう男、その役者道に「カッコよさは必要ない」
役を自分に近づけるのではなく、自らが役に寄り添う。常に難易度の高い道を進む阿部さん。「自分でハードルを作ってやっていく方が好きなんです」とサラリと言ってのけ、今年、蜷川幸雄の演出の下で俳優人生で初めて経験したシェイクスピアの舞台(「シンベリン」)でのエピソードを嬉々とした表情で明かしてくれた。
「外国の派手な衣裳を着て、『(ひざまずきながら)愛してます』なんてセリフをいまの自分が言えるのかな?と思っていたところもありました。若い頃なら敬遠していたかもしれない。実際に最初、舞台に立ったときにすごく“ノッキング”したんですよ。これまでやったこともないことだから、セリフをどう言えばいいのか?どっちに行けばいいのか?幼稚園児かと自分で思ったくらいです(苦笑)。自分より若い俳優が見てると恥ずかしいんですが、そういうことを全て超越して素っ裸になって作っていくことができたと思います」。
阿部寛という看板の重さ、背負っているものの大きさも重々自覚している。しかし、いやだらかこそ攻める姿勢を失って立ち止まれば、その先には停滞どころか下降しかない——そんな危機感が言葉の端々からひしひしと伝わってくる。恥をかき捨てながら「背負っているものをはぎ取るところまで行けたら」