【インタビュー】直木賞作家・白石一文 初映像化への想い~時代とネットと体温と~
本作は固定電話から携帯電話へと移行した時代の転換期、つまりは“パラダイムシフト”が起こった瞬間も捉えている――そして現在、時代はスマホへと移り、コミュニケーションのパラダイムシフトが今まさに起きているが、そんな“今”を描くならどんな小説を書くのだろうか?
「テクノロジー自体はかなり先端的になって来ていると思います。例えばSNSでいうと、この前のアカデミー賞で俳優たちが授賞式の最中に撮った写真をTwitterにアップしてサーバーをダウンさせたり…。本屋さんに行くと、本を買う前にみんな書棚の前でスマホ片手にブクログなんかをチェックしてるんですよ。もしも、『ラストがつまらない』なんて書かれていたら本をレジまで持って行ってくれない(苦笑)。
そういうことが日常の風景になりつつあるけれど、これは驚くべき変化だと思います。ある種、革命的と呼んでもいい気がする。
たとえていうなら、フォード社がT型フォードを作ってみんなが自動車に乗るようになったら、“道路”というものが出来て地図が書き換えられてしまった。それまでは、地図の中に伸びている線はせいぜい自分の足で歩く道と鉄道の線路くらいだったわけです。